2026/06/08
REPORT
Hitotsuyama Racingは、2026年6月5日〜7日、静岡県の富士スピードウェイで開催されたENEOS スーパー耐久シリーズ2026 Empowered by BRIDGESTONE 第3戦「富士24時間レース」に参戦しました。
ドライバー6名体制で挑んだ伝統の24時間耐久は、レース後半に危機的なトラブルに見舞われましたが、チーム一丸となってこれを乗り越えてチェッカードフラッグを受け、クラス2位で完走を果たしました。

BMW M2 RacingでST-3クラスに参戦しているHitotsuyama Racingは、国内唯一の24時間レースである富士24時間に、ドライバー6名体制で臨みました。その顔ぶれは、Aドライバーの鈴木建自に加えて、Bドライバーは、昨シーズンまで#21 Hitotsuyama Mercedes-AMG GT4のAドライバーを務めていた山脇大輔がこのレースから復帰。飯島宗久と田代良二が交替で出場するCドライバーは、今回は飯島が担当。さらに、DドライバーにFrank YU、EドライバーにJoe Chi、Fドライバーに梅田真祐が名を連ねます。
Frank YUは、2012年にSUPER GT GT300クラスでHitotsuyama Racingとともに戦った香港出身のジェントルマンドライバーです。Craft-Bamboo Racingの創業者であるFrank YUは、チームとの長年の親交から参戦が決定。また、台湾を拠点に活動するJoe Chiも今回のメンバーに加わりました。さらに梅田真祐は、スーパー耐久などに加えてダカールラリー参戦経験があるドライバーです。この異なるバックグラウンドを持つ3名を迎え、チームは富士24時間レースを6名体制で戦います。
24時間レースに向けては、新たなドライバーを迎えることも踏まえ、速さを追求するよりも、誰もが安心して乗ることができる扱いやすさと耐久性の向上を重視してマシンの改良を進めてきました。
その一環として、課題となっていた車重の軽減に取り組み、ドアやトランクリッドをカーボン製に変更するなどして、約50kgの軽量化を実現しました。また、長時間の走行における信頼性向上を目的に、オイルクーラーなどの搭載位置を見直すなど、細部にわたる改良も実施。24時間を戦い抜くための仕様へとアップデートを施しました。
そして6月5日の午後、くもり空の富士スピードウェイでは公式予選が行われました。まずは12時10分にグループ2のAドライバー予選が始まり、鈴木は4周目に1分58秒326をマークすると、さらに6周目には1分57秒671までタイムを上げました。しかし、このラップで走路外走行があったとしてタイムは抹消され、4周目のタイムが鈴木のベストタイムとなりました。
続く13時5分からのBドライバー予選では、山脇大輔が4周目に1分57秒200のベストタイムを記録しました。スターティンググリッドはA/Bドライバー合算タイムで決まり、今回もクラス2位でした。その一方で、マシンのアップデートの効果もあってライバルとの差が縮まるとともに、ドライバーからは軽量化などの効果により車両の動きがより機敏になり、レーシングカーらしいフィーリングが一段と高まったとの評価が聞かれるなど、マシンの進化を確認することができました。
P1 #39 エアバスター Winmax RC350 EXEDY
P2 #21 Hitotsuyama BMW M2 Racing


6月6日15時、薄日が差す富士スピードウェイでは、24時間レースの戦いの火蓋が切られました。#21 Hitotsuyama BMW M2 Racingは6名のドライバーが約90分のスティントを2〜3回ずつ受け持つローテーションを組み、24時間先を見据えながらレースを進めました。
スタートドライバーは、スーパー耐久での経験豊富な山脇が担当。24時間という長い戦いの幕開けにふさわしく、落ち着いた走りでオープニングラップをクリアすると、その後も1分59秒台の安定したペースで周回を重ねていきました。着実に走り切った山脇は、44周を消化したところで最初のピットストップへ。マシンをクラス2位、総合38位というポジションで次のドライバーへマシンを託しました。
続く鈴木も山脇同様、1分59秒台のペースを維持しながら力強いドライビングを見せ、ドライバー陣のリーダーとしての役割をしっかりと果たします。
このあと、Frank YUとJoe Chiがステアリングを引き継ぎますが、ともに経験豊かなドライバーだけに、ときおり1分59秒台をマークする速さを見せながら、周回数を増やしていきました。
この大会で夜間走行に初めて臨んだ飯島も、安定した速さを発揮。混走のなかでもタイムロスを最小限に抑えながらコンスタントなラップを重ね、その成長ぶりを感じさせる走りを披露しました。さらに明け方には1分59秒台までタイムを縮め、速さにも磨きがかかりました。
23時すぎ、いきなり深夜のスティントを走ることになった梅田も安定したペースを維持。周回を重ねるごとにペースを上げ、2分01秒前後のラップタイムを記録するなど、初めての富士24時間レースでも確かな走りを見せました。
Joe Chiが担当した夜間の9スティント目には、センサー異常による一時的なパワーダウンが発生したものの、システムのリセットによって速やかに復旧。その後は大きな問題もなく走行を続けました。
朝を迎えても順調に走行を続けていた#21 Hitotsuyama BMW M2 Racingに、予期せぬトラブルが襲いかかります。鈴木がマシンを託された11スティントでのこと、12周目を走行中の9時前、突如エンジンルームから大きな音がして、その直後にエンジンのパワーダウンが発生。鈴木は冷静に状況を判断し、低速で走行を続けながら、なんとか自力でピットまでマシンを戻すことに成功しました。
ピットでメカニックが原因を調査した結果、クランクプーリーの破損が判明。このトラブルはチームとしても想定していなかったもので、BMW M2 Racingが市販車ベースのカップカーであることに起因する部分もあったと考えられます。耐久レース専用に開発された車両ではなく、スプリントレースを主眼に置いた車両であることから、24時間という長丁場ならではの課題が浮き彫りとなりました。
走行継続が危ぶまれる状況に対して、チームは迅速に対応。破損したクランクプーリーを取り外し、御殿場にあるHitotsuyama Racingの工場で溶接補修を行い、応急処置を施したうえで車両に再装着しました。決して万全とはいえない状態ではあったものの、エンジンが正常に作動することを確認し、#21 Hitotsuyama BMW M2 Racingは再びコースへ復帰。すでにクラス首位争いからは大きく後退していたこともあり、この時点でチームは目標をクラス優勝から完走に切り替え、チェッカードフラッグを受けることを最優先に据えました。
その後も車両の状態を慎重に見極めながらレースを続行しましたが、残り時間が約3時間となった段階で、さらなるトラブルの発生リスクを考慮。完走認定に必要な周回数はすでに満たしていたことから、無理に走行を続けるのではなく、一時的にピットで待機する戦略を選択しました。というのも、スーパー耐久では、完走認定に必要な周回数を満たしていても、チェッカードフラッグを受けなければリタイヤ扱いになるからです。
そして、ゴールまで残り30分あまりとなったところで、最後のドライバーとなる梅田がコースインしました。
終盤には雨が強まり、スリックタイヤからウェットタイヤへ交換。それでも落ち着いた走りで周回を重ねた梅田は、17周を走行して無事にチェッカードフラッグを受けました。これにより総周回数は514周となり、#21 Hitotsuyama BMW M2 Racingは困難に見舞われながらも完走を果たしました。
今回の富士24時間レースでは、ドライバー陣がほぼアクシデントなくレースを進めてくれたにもかかわらず、車両側にトラブルが発生したは、チームとして悔いを残すことになりました。それでも、困難な状況を乗り越えて無事にチェッカードフラッグを受けることができたことは、大きな成果といえます。
#21 Hitotsuyama BMW M2 Racingにとって初めての24時間レースでは、長時間の耐久レースならではの課題や改善点を数多く把握することができました。一方、車両の弱点だけでなく、安定したペースで周回を重ねられる性能やドライバーフレンドリーな特性など、BMW M2 Racingの持つ強みも改めて確認することができました。
チームは今回得られた経験とデータを今後の開発に生かし、さらなる戦闘力と信頼性の向上を目指します。次戦のスポーツランドSUGO大会まで残された時間は限られていますが、今回洗い出された課題の改善に取り組み、より完成度の高いマシンでレースに臨む考えです。
引き続き、Hitotsuyama Racingの応援をよろしくお願いいたします。
P1 #39 エアバスター Winmax RC350 EXEDY
P2 #21 Hitotsuyama BMW M2 Racing

