2021/04/15
REPORT
Audi Team Hitotsuyamaは、2021年4月11日、岡山県の岡山国際サーキットで開催されたSUPER GT開幕戦「たかのこのホテル OKAYAMA GT 300km RACE」に出場しました。
川端伸太朗と篠原拓朗のコンビで戦う2021シーズンの開幕戦は、決勝レース中盤に導入されたセーフティカーに入賞を阻まれることになりましたが、ドライバー2人の速さや完璧なピットワークに、次戦に向けて希望をつなぐレースになりました。
2012年からAudi R8 LMSでGT300クラスに参戦するAudi Team Hitotsuyamaは、10年目となる今シーズンもAudi Japan / Audi Sportのサポートを受け、Audi R8 LMSでSUPER GT300クラスに参戦します。タイヤは昨シーズンに続きヨコハマを採用します。
ドライバーは、引き続き川端伸太朗をAドライバーに起用するとともに、2020年にAudi Team Hitotsuyama からTCRジャパンシリーズに参戦し、見事チャンピオンを獲得した篠原拓朗をBドライバーとして迎えました。
決勝前日の4月10日の午前には、公式予選に先駆けて、公式練習が行われました。好天に恵まれたこのセッションでは、まずは川端のドライブでマシンにタイヤを合わせるための作業を行い、最適なセッティングに仕上げることができました。その後、篠原に交替しますが、すぐに川端に迫るタイムをマークし、Q1突破への期待が高まります。
同日の午後2時からは、GT300クラスの公式予選が行われました。29台がエントリーするGT300クラスは、A、Bの2組に分かれてそれぞれ10分間のQ1を行い、各組の上位8台がQ2に進出することになります。Audi Team Hitotsuyamaは川端がQ1のB組に挑みました。川端は丁寧にタイヤを温め、セッション終盤、計測4周目に1分28秒327で13番手に。さらに次の周もタイムアタックを続けると、自己ベストを更新する1分26秒557をマークし、8番手でQ1を突破して見せました。チーム代表の一ツ山亮次は「ライバルの速さやBOPを考えると、納得のいくタイムでしょう」と語ります。
SUPER GTの岡山では初の予選アタックとなる篠原は、計測4周目で川端のタイムを上回る1分26秒432を叩き出し、13番手のポジションを手に入れました。「気温や路面温度の違いはありますが、川端と同等のタイムをマークした篠原はよくやったと思います」(一ツ山)。
P1 #11 GAINER TANAX GT-R 平中克幸/安田裕信
P2 #52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT 吉田広樹/川合孝汰
P3 #65 LEON PYRAMID AMG 蒲生尚弥/菅波冬悟
P13 #21 Hitotsuyama Audi R8 LMS 川端伸太朗/篠原拓朗
photo : Sho Tamura
4月11日、岡山国際サーキットは雲ひとつない晴天に恵まれました。絶好のコンディションのもと、午後1時には2周のフォーメーションラップののち、300kmの決勝レースが始まりました。
Audi Team Hitotsuyamaは、篠原にスタートを託します。「昨年、川端が第2スティントを担当してうまくいっていましたし、篠原にはSUPER GTの混戦に早く慣れてもらうために、スタートを担当させました」(一ツ山)。チームの期待に応えるべく、確実にローリングスタートをきめた篠原でしたが、スタート直後やセーフティカー解除後にフロントタイヤを温めきれず苦戦し、序盤にポジションを2つ落とすことに。その後は調子を取り戻したものの、前を行くライバルに行く手を阻まれ、本来のペースを発揮できずにいました。
そこでチームは25周が終わった早めのタイミングで篠原をピットに呼び寄せ、川端へとドライバー交替を行いました。パーフェクトなピット作業のおかげで、その数周後には行く手を阻んでいたライバルの前に出ることができました。
ところがその直後、GT300のマシンが1コーナーでストップしたことからセーフティカーが導入されます。「すでにピットストップを終えているHitotsuyama Audi R8 LMSにとって、去年の鈴鹿のように有利に働くかもしれないと思いましたが、実際にはその反対で、実質トップを走っているクルマが1周して後ろまで来てしまっている状態。これで完全に勝負権を失ってしまいました」(一ツ山)。
それでも川端は諦めることなく速いペースで周回を重ね、48周目には13番手、67周目には12番手、さらに70周目には11番手に順位を上げて、入賞圏内にあと一歩まで近づきました。ところが、その周、バトルを演じていた後続のマシンに強引なオーバーテイクを仕掛けられて接触。13位にポジションを落としたあとは、タイヤのピックアップの影響もあってペースを上げることができなくなります。なんとかゴールにはたどり着いたものの、Hitotsuyama Audi R8 LMSは13位でレースを終え、惜しくも入賞を逃す結果になりました。
P1 #56 リアライズ日産自動車大学校 GT-R 藤波 清斗/J.P.デ・オリベイラ
P2 #65 LEON PYRAMID AMG 蒲生尚弥/菅波冬悟
P3 #52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT 吉田広樹/川合孝汰
P13 #21 Hitotsuyama Audi R8 LMS 川端伸太朗/篠原拓朗
今シーズン、ドライバーとして篠原が加入したことが、チームにとって最も大きな変更点です。公式練習では、川端のあとに中古タイヤでコースに送り出しましたが、すぐに川端に近いタイムを出してきました。思った以上に速いペースで走る篠原が頼もしく、まずはひと安心というところです。
決勝レースでは、チームクルー全員が完璧に仕事をこなし、2人のドライバーもいまのマシンの状態やBOPを考えるとそれなりに良いタイムで走ってくれました。しかし、残念ながらセーフティカーがもたらした不運に泣かされる結果になりました。
それでも川端は諦めずに走り続けましたが、終盤にバトルを演じていた18号車に弾き飛ばされ、18号車と48号車の先行を許す結果となってしまいました。最後は走りきるのがやっとのような状態でした。それがなければぎりぎり入賞できる位置だったので、本当に残念ですね。
次の富士は500kmと長いレースですので、今回同様、ミスなく着実に周回を重ねていけば、距離が長いぶんチャンスはあると思います。今回の経験を生かして、また次回も良い走りができるように頑張りたいと思いますので、引き続き今シーズンも皆様の応援をよろしくお願いします。
去年から通してみてマシンの仕上がりは一番いい状態にあると感じています。ただBoP(性能調整)で苦しんでいるところがあるので、コンマ数秒でしのぎを削る予選Q1ではカットラインぎりぎりかなと思っていましたが、どうにかQ2の篠原選手につなぐことができて良かったです。決勝レースもマシンの状態はいいのですが、昨年から悩まされているデブリ(タイヤカス)の問題があって、いま解消法を探している状況です。そこが改善できればもっといいペースで走ることができるはずです。チームとしてもいい状態にありますし、富士では例年よりもいい結果を残したいと思っています。
このチームAudi Team Hitotsuyamaには、2018年にはCドライバーとして、また昨年、一昨年はTCRでもお世話になってきて、スーパーGTでも力になりたい、優勝したいという思いで加入させていただきました。実は今回初めて予選アタックを経験したのですが、大きなミスもなく走ることができました。一方で驚くくらいにグリップがあって、いい勉強になりましたし、それを次につなげていきたい。次の富士はチームの地元でもありますし、応援してくださる人たちにいいところをお見せしたいと思います。