2021/11/08
REPORT
Audi Team Hitotsuyamaは、2021年11月6-7日、栃木県のツインリンクもてぎで開催されたSUPER GT第7戦「AUTOBACS SUPER GT Round 7 MOTEGI GT 300km RACE」に出場しました。
今シーズン最上位の5番グリッドからスタートした#21 Hitotsuyama Audi R8 LMSは、レースなかばの34周目に実質トップに立つと、残り周回を快走してポジションを守り切り、今シーズン初入賞を優勝で飾りました。
前戦のオートポリスではリアタイヤの消耗に悩まされた#21 Hitotsuyama Audi R8 LMS。その解消に向け、チームはマシンのセッティングをがらりと変えて、このもてぎ戦に臨みました。
11月6日、予選に先立ち行われた公式練習では、タイヤにやさしいセッティングがコースとも良くマッチし、川端伸太朗、篠原拓朗の両ドライバーからも乗りやすいという評価が得られました。実際に走行後のタイヤを見ても減りが少なく、チームはQ1突破の手応えを感じとります。
その予感は見事に的中。快晴のもと、午後2時20分から行われたQ1は、B組に川端が走行。計測4周目にマークした1分46秒644のタイムはトップからコンマ465秒差の6番手で、無事にQ2進出を果たしました。続く篠原に対してチームは「川端を超えるようなタイムを出してこい!」と声をかけQ2に送り出します。これに応えるように、篠原は川端のタイムをコンマ356秒縮める1分46秒288を叩き出し、今季最高位となる5番グリッドを手に入れました。
P1 #18 UPGARAGE NSX GT3 小林崇志/名取鉄平
P2 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT 井口卓人/山内英輝
P3 #55 ARTA NSX GT3 高木真一/佐藤 蓮
P5 #21 Hitotsuyama Audi R8 LMS 川端伸太朗/篠原拓朗
翌11月7日、秋晴れに恵まれたツインリンクもてぎでは、午後1時ちょうどから300kmに及ぶ決勝レースが行われました。前半を担当する川端は、しっかりとスタートを決めて5番手のポジションを守り、その後しばらくは、背後に迫る#25 HOPPY Porscheを抑えながら、丁寧な走りでタイヤをうまくマネージメントします。
6周目には2番手を走る#18 UPGARAGE NSX GT3がトラブルで早々に戦列を離れ、#21 Hitotsuyama Audi R8 LMSは4位に浮上。3番手を走る#88 JLOC ランボルギーニ GT3とつかず離れずの距離を保ったまま周回を重ねていきます。そして、27周が終わったところで先行する#88 JLOC ランボルギーニ GT3がピットストップし、リア2輪交換でコースに復帰すると、次の周に今度は#21 Hitotsuyama Audi R8 LMSがピットインし、同様にリア2輪交換で篠原をコースに送り出しました。
短時間でピット作業を終えた#21 Hitotsuyama Audi R8 LMSは#88 JLOC ランボルギーニ GT3の前でコースに復帰。その後、2位争いを演じていた#61 SUBARU BRZ R&D SPORTがピットストップ後に#21 Hitotsuyama Audi R8 LMSの後方でコースに復帰したことから、実質2位へとポジションをアップ。さらに34周目には実質トップを走る#55 ARTA NSX GT3を篠原がとらえて、事実上のトップに踊り出ました。
そして38周を終えたところでGT300クラスのマシン全車がドライバー交替を終わらせると、名実ともに#21 Hitotsuyama Audi R8 LMSがトップに立ち、レースをリードすることになります。プレッシャーがかかるなか、篠原は集中力を高めながらも落ち着いた走りを続け、最後まで2番手の#55 ARTA NSX GT3に十分なマージンを確保したままファイナルラップの59周目まで走りきり、チームに今季初優勝をもたらしました。篠原にとってはこれがSUPER GTでの初勝利。川端も昨年の鈴鹿戦に続く2勝目となりました。
P1 #21 Hitotsuyama Audi R8 LMS 川端伸太朗/篠原拓朗
P2 #55 ARTA NSX GT3 高木真一/佐藤 蓮
P3 #56 リアライズ日産自動車大学校 GT-R 藤波清斗/J.P.デ・オリベイラ
篠原がトップに立ってからゴールするまでは、生きた心地がしなかったですね(笑) 後方とのギャップなど周囲の状況を篠原に無線で伝えようとしたのですが、篠原が「集中したいから静かにしてくれ」というので、ピットはただただ彼の走りを見守るだけでした。
Audi R8 LMSにとってもてぎは得意なサーキットですので、今シーズン苦戦を続けていたチームとしては、なんとしてでもここでポイントを獲得したいという気持ちでいっぱいでした。予選で5番グリッドを獲得したのは予想以上でしたし、その流れから表彰台は狙っていました。でも、まさか優勝できるとは思っていませんでした。もちろん毎戦最善を尽くしてレースを戦っているのですが、昨年優勝した鈴鹿戦にも同じことが言えて、優勝するときはごくごく普通に走っているだけなのに勝ててしまうんです。それだけに、優勝したという実感が湧くのは数日後のことと思いますが……今シーズンは苦戦が続いたので、とにかくうれしいですし、ホッとしています。応援ありがとうございました!
去年の優勝以来、ポイントから遠ざかっていて、私がチームを引っ張っていかなければいけない立場ですので、とても重圧を感じていました。それだけに本当にうれしいです。今回は少しわがままを言い、これまでとは大きくセッティングを変更してもらったのですが、チームがそれをしっかりまとめてくれて、クルマもタイヤも決まり、一発の速さもある、ロングランもいける、そしてレースの戦略と全てのピースが揃ったのが勝因だと思います。次の富士にもつなげていきたいと思います。
いまの気持ちは最高のひとことです。セットアップ含め川端選手がしっかりとひっぱってくれて、終始安定して走り切れました。コースに出て無線で『実質2位だ!』と言われても最初は実感がなくて、55号車を抜いたあたりから意識はしましたが、先は長いのでミスをしないように心がけました。最終コーナーを立ち上がって、チェッカーフラッグとチームの皆さんの顔が見えたときに、ようやくホッとできました。チームや関係者、ファンの皆様にいい報告ができたことをとてもうれしく思います。