2020/09/01
REPORT
Audi Team Hitotsuyamaは、2020年8月29日〜30日、栃木県のツインリンクもてぎで開催された「TCR Japan Series 2020 Round 2 MOTEGI」に出場しました。
年間エントリーの篠原拓朗に加えて、スポット参戦の中原英貴の2名で挑んだツインリンクもてぎ。篠原がSaturday Seriesでポール・トゥ・ウィンを果たす一方、中原も予選でブロンズクラス2位と速さを見せました。
Round 2が行われるツインリンクもてぎは、ストップ&ゴーが繰り返されるコースだけに、とくにAudi RS 3 LMSにとってはブレーキに厳しい戦いになります。そこで、レース直前、ブレーキ冷却性能の強化が含まるAudi Sportのアップデートキットを導入し、灼熱のもてぎに臨みました。
決勝当日の午前8時30分には、Saturday Seriesの予選が行われました。ここで速さを見せたのが、#101 中原です。2019年7月の富士スピードウェイで行われたRound 3に続くスポット参戦でしたが、#101 中原が叩き出した2分3秒312は、ブロンズクラスで2位、総合でも4位という堂々のタイムでした。
一方、オーバーオールのシリーズ優勝を狙う#21 篠原は、セッション後半に挑んだ一発勝負で2分1秒726をマーク。その後、#25 松本武士選手(ゴルフGTI)がコンマ161秒まで差を縮めてきましたが、ポールポジションを獲得することができました。
P1 #21 Audi RS 3 LMS 篠原拓朗
P2 #25 Volkswagen Golf GTI TCR 松本武士
P3 #34 Honda CIVIC TCR 下野璃央(Bronze P1)
P4 #101 Audi RS 3 LMS 中原英貴(Bronze P2)
午後1時35分、20分プラス1周の決勝レースが開始になりました。ポールポジションの#21 篠原は、Audi RS 3 LMSが苦手とするスタンディングスタートに苦しめられ、スタート直後には2番手の#25 松本選手に並びかけられる場面もありました。しかし、#21 篠原はなんとか#25 松本選手の追撃を抑えて、トップに踏みとどまります。その後、#21 篠原はブレーキやタイヤを労りながらペースをコントロールして、少しずつ#25 松本選手との差を広げることに成功。最終的には約7秒の差を築き、一度も首位を譲ることなく、ポール・トゥ・ウィンを決めました。
一方、4番グリッドの#101 中原はスタートで2つ順位を落として総合6番手、クラス4番手でレースを戦うことに。先行する#19 HIROBON(ゴルフGTI)とのクラス3位争いでは、テール・トゥ・ノーズのバトルを演じながらも、無理をしない走りでクラス4位を守り、総合6番手でゴールしました。
P1 #21 Audi RS 3 LMS 篠原拓朗
P2 #25 Volkswagen Golf GTI TCR 松本武士
P3 #34 Honda CIVIC TCR 下野璃央(Bronze P1)
P6 #101 Audi RS 3 LMS 中原英貴(Bronze P4)
Sunday Seriesの予選は、決勝前日の29日午前9時35分から行われました。セッション前半はブロンズクラスのドライバーがタイムアタックに挑む姿が見られました。ここで#101 中原は、Saturday Seriesの予選タイムをさらに上まわる2分3秒160をマーク。クラス2番手とポジションは変わりませんでしたが、本人の「かなり乗れるようになってきた」という言葉どおり、その成長ぶりは目を見張るものでした。
セッション後半には#21 篠原がタイムアタックに挑みますが、気温上昇や路面コンディションの変化などもあって、Saturday Seriesの予選タイムを更新することはできず、#25 松本選手からわずかコンマ006秒遅れの2分1秒855で、惜しくもポールポジションを逃しました。
P1 #25 Volkswagen Golf GTI TCR 松本武士
P2 #21 Audi RS 3 LMS 篠原拓朗
P3 #34 Honda CIVIC TCR 下野璃央(Bronze P1)
P4 #101 Audi RS 3 LMS 中原英貴(Bronze P2)
決勝当日の30日も、ツインリンクもてぎは厳しい暑さに見舞われ、午前11時55分には戦いの火蓋が切られました。2番グリッドの#21 篠原は、なんとかスタートで#25 松本選手の前に出たいところでしたが、敵もさる者、#21 篠原選手の先行を簡単には許してくれません。レース開始直後こそ#25 松本選手の背後にぴたりと付けていた#21 篠原でしたが、マシンにフレッシュエアが当たらない状況ではブレーキの冷却に支障をきたすため、意図的にマシンの間隔を空け、後半の反撃に備えました。
そして迎えた終盤。残り数周というタイミングで#25 松本選手に襲いかかる#21 篠原は、まさにサイド・バイ・サイド、ときには軽い接触をともなう好バトルで観客の目を釘付けにします。しかし、#25 松本選手の鉄壁のブロックをこじ開けることはできず、#21 篠原は惜しくも2位で日曜日のレースを終えました。
ブロンズクラスの#101 中原は、慣れないスタートでポジションを2つ落とすとともに、スタート直前に意図せずクラッチがつながってしまったためにマシンが動き、ジャンプスタートの判定。これにより、ドライブスルーペナルティが科されましたが、それでもペナルティ後は上位ドライバーと遜色のないペースで周回を重ねて、クラス7位で完走しています。
P1 #25 Volkswagen Golf GTI TCR 松本武士
P2 #21 Audi RS 3 LMS 篠原拓朗
P3 #34 Honda CIVIC TCR 下野璃央(Bronze P1)
P9 #101 Audi RS 3 LMS 中原英貴(Bronze P7)
ツインリンクもてぎは、Audi RS 3 LMSにとっては苦手なコースです。とくにブレーキには厳しいのですが、Audi Sportから8月の初めにアップデートキットがリリースされ、そのなかにブレーキの冷却という項目があったので、なんとか2台ともその仕様にアップデートを間に合わせて、もてぎに持ち込みました。実際にもてぎではアップデートが済んでいないマシンに比べてブレーキ温度が100℃以上も低くなっていて、効果てきめんでした。今回は他の車種もブレーキがかなり厳しかったと聞いていますし、このアップデートキットのおかげでサタデーシリーズで優勝できた、と言えるくらいの効果だったと思います。
スポット参戦の中原は、この大会に向けて準備を進めてきました。約1カ月前にここツインリンクもてぎで行った練習走行では2分6秒台のタイムでしたが、プロドライバーの指導のもと、レースまでにめきめきと腕を上げ、Saturday Seriesの予選では約3秒アップの2分3秒160をマーク。チームの皆を驚かせるとともに、チーム全体のモチベーションを上げてくれました。今回は表彰台を逃しましたが、今後さらに伸びるものと期待しています。
一方、篠原はSaturday Seriesでポール・トゥ・ウィンを獲得したものの、Sunday Seriesでは2位に終わりました。今年は全勝する意気込みで来ているだけに、連勝が2でストップしたのは悔しいですが、Sunday Seriesでもしっかりとポイントを持ち帰っています。次の岡山はAudi RS 3 LMSがもっと速さを発揮できると思いますので、2連勝めざして頑張りたいと思います。引き続き、皆様の応援、よろしくお願いいたします。