2020/12/01
REPORT
Audi Team Hitotsuyamaは、2020年11月29日、静岡県の富士スピードウェイで開催されたSUPER GT第8戦「たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE」に出場しました。
スタート直後のアクシデントで、いきなり25位までポジションを落とした#21 Hitotsuyama Audi R8 LMSでしたが、川端伸太朗と近藤翼が悪条件を撥ねのけ、懸命な走りで12位完走を果たしました。
7月に開幕した今シーズンも、この第8戦で最終戦を迎えました。予選日の11月28日、富士スピードウェイは好天に恵まれましたが、低い気温と路面温度にチームは悩まされることになります。午前中に行われた公式練習では、予選上位を目指していろいろなセッティングを試しましたが、なかなかタイムアップにつながらず、Audi Team Hitotsuyamaにとって厳しい予選になることが予想されました。
そして迎えたQ1。A組でタイムアタックに挑んだ近藤は、セッション終了間際に1分36秒911を叩き出しますが、8番手にはわずか0.1秒及ばぬ10番手でQ2進出を逃し、20番グリッドからのスタートが確定しました。
チーム代表の一ツ山亮次は、「今回の予選はQ1が始まる前から、Q2進出の瀬戸際にいると思っていて、タイムアタックのタイミングとドライバーの頑張りに賭けましたが、惜しくもコンマ1秒足りませんでした。しかし、見方を変えれば、コンマ2秒くらいのあいだに何台もひしめいている接戦ですので、決勝に強いAudi R8 LMSなら、望みはあると信じていました」と語りました。
P1 #52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT 吉田広樹/川合孝汰
P2 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT 井口卓人/山内英輝
P3 #6 ADVICS muta MC86 阪口良平/小高一斗
P20 #21 Hitotsuyama Audi R8 LMS 川端伸太朗/近藤 翼
決勝当日の29日、曇り空の富士スピードウェイは昼の気温が8℃、路面温度が13℃と、前日よりもさらに寒いコンディションとなりました。決勝直前のウォームアップでは、タイヤ表面がささくれる“グレイング”が見られるなど、#21 Hitotsuyama Audi R8 LMSは不安を抱えてのスタートになりました。
午後1時、スタートに向けて、フォーメーションラップが始まりました。そして3周のフォーメーションラップののち、レースがスタート。Audi Team Hitotsuyamaは近藤が第1スティントを担当しましたが、スタート直後に不運が襲いかかります。目の前を走るGT300のマシンがオイルを吹き、それを避けようとした隙に後続車が#21 Hitotsuyama Audi R8 LMSをオーバーテイク、近藤は25位にポジションを落としてしまいました。そのうえ、まき散らされたオイルにより#21のフロントウインドーは汚れ、視界の悪い状態のまま、近藤はレースを続けなくてはならなくなったのです。
しかし、近藤は悪条件を撥ねのけ、入賞圏内のマシンとほぼ変わらぬペースで周回を重ね、徐々に順位を上げていきました。「近藤のタイムが良かったので、後半、川端のタイヤが少しでもラクになるように、近藤にはいつも以上に引っ張ってもらいました。それだけに、スタート直後の不運は悔しいですね」(一ツ山)
近藤が31周を走り終わったところでドライバー交替。実質15位でコースに戻った川端は、タイヤかすを拾ってグリップが低下する“ピックアップ”に悩まされながらも、ミスのない走りで着実に周回を重ね、47周目には12位まで挽回。そして、そのままゴールを迎え、入賞には手が届かなかったものの、最終戦を完走で締めくくりました。
「他のチームもタイヤに悩まされ、ピットストップを2回行ったり、戦線を離脱するところもありました。そんな状況下でも、ミスなく着実にポジションを挽回し、完走できたことは、良かったと思います」(一ツ山)
2020シリーズを終えて、チームランキングでAudi Team Hitotsuyamaは10位、ドライバーランキングで川端/近藤が11位となりました。
P1 #52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT 吉田広樹/川合孝汰
P2 #56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R 藤波清斗/J.P.デ・オリベイラ
P3 #6 ADVICS muta MC86 阪口良平/小高一斗
P12 #21 Hitotsuyama Audi R8 LMS 川端伸太朗/近藤 翼
今年はコロナ禍のもと、レースのインターバルが短かったり、いろいろと制約を受けたなかでの大会開催になりましたが、4年ぶりにクラス優勝を果たすとともに、2度の入賞を含め全戦完走したことで、チームランキング10位でシーズンを終えることができました。さらに、Audi R8 LMSの速さアピールする機会も多かったと思うと、チームにとっては飛躍の年だったといえるのはないでしょうか。
一方、予選での一発の速さが足りないという課題がつきまとっていたのも確かで、来年はその部分を強化して、常にQ2に進めるようなマシンをつくりたいと思います。
今年は無観客のレースが多く、ファンやご支援いただいている皆様にはサーキットでお目にかかれないことが多かったのですが、そんななかでも、変わらず応援していただけたことが、チームの力につながりました。第6戦の鈴鹿で優勝できたのも、皆様の応援のおかげです。
来シーズン以降も、引き続きAudi、そして、Audi Team Hitotsuyamaの応援をよろしくお願いいたします。
最終戦も追い上げてポイントを取れる実力はあると思っていましたが、スタート時の不運もあって悔しい結果になりました。近藤選手も僕も今日の状況下では最大限の走りができたと思います。今シーズンは優勝できたことがチームにとっても一番うれしいことでした。まだまだ実績の足りない僕をチームが起用してくれて、その期待に少しは応えられたのかなと感じています。より安定したレースができれば、このチームとこのマシンでチャンピオンシップにも手が届くと思いますし、来年以降チャンスがあれば頑張りたいと思います。
スタート時に前を走る88号車が、シグナルグリーンでアクセルを踏んだ瞬間にオイルが漏れて、避けようとしたのですがスペースがありませんでした。なんとかぶつからずにコースに戻ることができ、後半は順位をあげて川端選手に繋ぐことができました。今シーズンは結果としてフル参戦するかたちになり、最初はGT500との混走にとまどいもありましたが、優勝もできましたし、いい経験になりました。Audi R8は、ブレーキも旋回性能もよく、そして一度もトラブルがなくレースに強いクルマでした。来年もチャンスがあれば頑張ります。