2019/05/07
REPORT
Audi Team Hitotsuyamaは2019年5月3日〜4日、静岡県の富士スピードウェイで開催されたSUPER GT第2戦「FUJI GT 500km RACE」に出場しました。
好調な走りで一時6位まで順位を上げた#21 Hitotsuyama Audi R8 LMSは、中盤のタイヤトラブルにより順位を大きく落としましたが、終盤の見事な追い上げで8位まで順位を戻し、今シーズン初のポイントを獲得しました。
500kmの長距離レースとなる第2戦では、レギュラーのリチャード・ライアンと富田竜一郎に加えて、アレッシオ・ピカリエロをCドライバーに迎え、3名体制でFUJI GT 500km RACEに臨みました。
予選が行われる5月3日は、朝から初夏を思わせる好天に恵まれました。雄大な姿を見せる富士山と大勢の観客が見守るなか、午後2時30分から、GT300クラスの公式予選がスタート。公式予選は通常どおりQ1、Q2の2段階で行われるノックアウト方式が採用され、Audi Team HitotsuyamaはBドライバーの富田がQ1のタイムアタックを担当しました。
第2戦では、Audi R8 LMSのエアリストリクター径が41.0mm×2と第1戦よりも1mm拡大する一方、BoP重量はさらに15kg増えて100kgとなり、走り出す前から厳しい状況に置かれているHitotsuyama Audi R8 LMS。しかし、富田は計測2周目のセクター1とセクター2で自己ベストを更新する走りでピットを沸かせます。ところが、セクター3でタイヤを温めていたマシンに阻まれ、コンマ7秒をロス。1分37秒811というタイムで21番手に終わり、Q1撤退を余儀なくされました。このタイムロスがなければトップ10入りは確実だっただけに悔しい結果となりましたが、改めて今シーズンのHitotsuyama Audi R8 LMSが高いパフォーマンスを持つことを実感できたのも事実でした。
P1 #56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R 平峰一貴/サッシャ・フェネストラズ
P2 #25 HOPPY 86 MC 松井孝允/佐藤公哉/土屋武士
P3 #5 ADVICS マッハ車検 MC86 マッハ号 坂口夏月/平木湧也/玉中哲二
P21 #21 Hitotsuyama Audi R8 LMS リチャード・ライアン/富田竜一郎/アレッシオ・ピカリエロ
決勝が行われる5月4日も、午前中は好天に恵まれましたが、決勝スタートを前に雨が降り出し、開幕戦に続いてこの第2戦もセーフティカー先導によるスタートになりました。
Audi Team Hitotsuyamaはレインタイヤに履き替えたAudi R8 LMSをライアンに託します。午後2時30分にスタートした決勝は、2周のセーフティカーランののちに、本格的な戦いが始まりましたが、強まる雨脚のなか安全を確保する理由から、レース開始の約25分後にはセーフティカーを導入。その後、コース上でアクシデントが発生したため、レース開始約35分後には赤旗によりレースが中断になりました。
さいわい約30分後には雨が上がり、レースは再びセーフティカーの先導によりスタート。その3周後に戦いが再開されると、それまでスタート時の21番手に留まっていたライアンが、ウェットコンディションを味方に付けて、19周目には16位、20周目には13位、さらに23周目には入賞圏内の10位へと大躍進。この時、最終コーナーを中心に路面が乾き始めてきていることから、チームはライバル勢より先にドライタイヤに履き替える作戦を実行。34周が終わったところで1回目のピットストップを行い、ドライバーをピカリエロに交替しました。コース上のほとんどのマシンがウェットタイヤで走る中、ドライタイヤを装着して、Audi R8 LMSがコースに戻りました。
この作戦が見事的中し、ピカリエロが駆るHitotsuyama Audi R8 LMSは全体のベストタイムを刻む速さで他を圧倒。GT500クラスのマシンをオーバーテイクするなどファンを驚かせる場面もあったほどです。その後もピカリエロの勢いは留まるところを知らず、51周が終わった時点で、Hitotsuyama Audi R8 LMSは6位までポジションをアップ。表彰台への期待が高まります。
ところが突然の不運がHitotsuyama Audi R8 LMSを襲います。56周目のセクター2で左リヤタイヤがバーストし、マシンがスローダウンを強いられたのです。これにより約30秒をロスしたものの、なんとかピットに辿りつくことができたのは不幸中の幸いでした。ここでタイヤ交換を行い、同時にドライバーを富田に交替して、マシンをコースに送り出しました。
ただ、想定外に早いドライバー交替となったため、レース終了までの約50周をそのまま走らせるには燃料が足りなくなる計算でした。最悪の場合、終盤の残り数周で必要最小限の燃料を給油するスプラッシュを覚悟しなければなりません。そこでチームは富田に、燃料をセーブするためにペースダウンを指示します。ところが富田は燃費走行を続けながら速いペースをキープするという離れ業で、19位まで後退したポジションを96周目には10位まで挽回。そしてレース終了間際、そのままゴールできる燃料が残っていることを確認したチームが富田にペースアップを指示。すると富田はさらにポジションアップを狙い、最終ラップの最終コーナーでも1台をオーバーテイクし8位でゴール。チームに今季初入賞をもたらしました。
次の第3戦は、2019年5月25日、26日、三重県の鈴鹿サーキットで開催されます。まだ始まったばかりのシーズンですので、これからの1戦1戦できっちりとポイントを獲得して、シリーズ優勝を狙っていきますので、引き続き皆様のご支援、ご声援をお願いいたします。
P1 #11 GAINER TANAX GT-R 平中克幸/安田裕信
P2 #55 ARTA NSX GT3 高木真一/福住仁嶺
P3 #88 マネパ ランボルギーニ GT3 小暮卓史/元嶋佑弥
P8 #21 Hitotsuyama Audi R8 LMS リチャード・ライアン/富田竜一郎/アレッシオ・ピカリエロ
レース終了時の燃料は、あと半周も走ることができないほど僅かな量しか残っておらず、富田をピットに呼び戻すことなくゴールできたのは幸運でした。しかも途中のトラブルを考えると、8位は出来過ぎの結果です。もしもあのバーストがなかったら3〜5位で終わっていたかもしれませんが、マシン、ドライバー、チームの高い実力を改めて確認できたのは大きな収穫でした。今シーズンはニューマシンを投入し、厳しいBoPやヨコハマタイヤとのマッチングを探る必要があるなど、いろいろと苦労している点もありました。それだけに、今回これだけ良いレースができて、チーム全員、ポジティブな気持ちで、どちらかといえば苦手な富士を終えることができたのは、本当に良かったと思います。次の鈴鹿はAudi R8 LMSとは相性の良いコースですので、タイヤの選択やマシンのセットアップをしっかりと行い、さらに上のポジションを目指しますので、一層の応援をよろしくお願いいたします。
スタート直後は、セーフティカーがいて、ドライタイヤを選択した前走車がタイムを大きくロスする展開に苦戦しましたが、赤旗中断があってうまくリセットできました。再スタート時は、路面コンディションとマシンのマッチングがよく、一気に数台を追い抜き順位をジャンプアップできました。後半は路面が乾きタイヤがよれはじめていたので、アレッシオ選手にドライバー交代するにはパーフェクトなタイミングだったと思います。今日はチームのみんなも素晴らしい仕事をしました。このパフォーマンスが発揮できれば表彰台も十分に狙えると思います。次も期待していてください。
決勝レースでは50周くらいの長距離の最終スティントを任されましたが、燃料が3周分足りないとのことで、燃費を抑え、タイヤも維持しながら、ラップタイムはキープするという課題がありました。チームとは無線で頻繁に連絡を取りながら状況を把握する一方で、高速コーナーで速く、ブレーキングもいい今日のマシンコンディションも僕の手助けをしてくれました。長い距離を一定のペースでコンスタントに走ることができたので燃費をかせぐのと同時にタイヤの摩耗を抑えることができ、それが最後の数周でのオーバーテイクにつながりました。今日の走りは今後の大きな自信につながるものです。
私にとって初めてのSUPER GTでした。日本のレース、日本の文化が好きで、SUPER GTを走ることは1つの夢でした。それを叶えることでき、またAudi Team Hitotsuyamaの入賞に貢献できてとてもうれしいです。これまでにもAudi R8 LMSをドライブした経験はありますが、ヨコハマタイヤとの組み合わせ、かつGT500との混走は初めての経験でチャレンジングでしたが、決勝レースでは個人的に好みの路面コンディションになり、GT500を追い抜く経験もでき、とてもエキサイティングでした。今後は8月に開催予定の富士500マイルレースにも参戦予定です。将来は日本のレースにフルタイムで参戦したい、そのためにももっといい走りを見せたいと思っています。応援よろしくお願いします。